SSRF攻撃(Server-Side Request Forgery)は、サーバーがユーザーからのリクエストを受けて他のサーバーにアクセスする際、そのリクエストを悪用して内部ネットワークの情報を不正に取得する攻撃手法です。特にAWS環境においては、この攻撃によりEC2インスタンスのメタデータが盗まれるリスクがあり、重大なセキュリティ問題を引き起こす可能性があります。このような脅威に対処するために、AWSはIMDSv2(Instance Metadata Service Version 2)を導入しました。

SSRF攻撃は、主にWebアプリケーションの脆弱性を利用して行われます。例えば、Webアプリケーションが外部のAPIやサービスにリクエストを送る際に、攻撃者がそのリクエストを改ざんし、内部ネットワークのサーバーにアクセスするように仕向けることがあります。このようにして、内部ネットワーク内でしか利用できないデータや認証情報が攻撃者の手に渡る可能性があります。

AWSのEC2インスタンスにおけるInstance Metadata Service(IMDS)は、インスタンスに関するメタデータを取得するための重要なサービスです。このメタデータには、インスタンスIDやホスト名、プライベートIPアドレスなどの情報が含まれており、さらにIAMロールに関連付けられた一時的な認証情報も取得可能です。しかし、IMDSv1ではセキュリティ上の問題が指摘されており、特にSSRF攻撃に対して脆弱です。IMDSv1では、リンクローカルアドレスに対して単純なHTTPリクエストを送信することで、誰でも簡単にメタデータを取得できるため、この手法が悪用されるリスクが高いとされていました。

IMDSv2は、このような問題を解決するために設計された新しいバージョンです。IMDSv2では、メタデータを取得する前に、まずセッショントークンを取得し、そのトークンを利用してリクエストを行う必要があります。この仕組みにより、攻撃者が不正にメタデータを取得することが難しくなり、セキュリティが大幅に強化されました。また、セッショントークンは特定のインスタンスからのみ利用可能であり、最大で6時間まで有効です。この短時間でのセッション管理により、攻撃のリスクをさらに低減することができます。

AWSのIMDSv2を利用することで、SSRF攻撃に対する多層防御が実現され、オープンなWebサイトアプリケーションファイアウォールやリバースプロキシからの保護も強化されます。また、IMDSv2をデフォルトで有効にすることは、AWS環境をセキュアに保つための重要なステップです。AWSで環境を構築している場合、IMDSv2を利用することで、EC2インスタンスのメタデータを不正に取得されるリスクを大幅に減らすことができます。IMDSv2の導入を検討することで、SSRF攻撃の脅威からシステムを守り、安全なクラウド環境を維持することが可能になります。